ここでは単管パイプを使って自作したフェンスの流れを追っていきます。
これまた頼まれたDIYです。
なぜDIYと呼ぶかといえば、それは私が本職ではないからです。
近頃は道具や材料や工法がどんどん進歩し、それに加えweb上の豊富な情報のおかげで、個人も本職も、その差はだいぶ縮まってきていると思います。とはいえ完成までの工程を頭で描けない限りは、いくら情報と道具が揃っていても何も生まれないのは言うまでもありません。
しかし勘のいい人ならイマドキは素人でも少しかじれば「リフォーム屋」を名乗れる時代になってきました。グーグル親方に育てられた職人は増え続けているはずです。
今回はまたまた単管パイプワークという事で、前回作った階段に続く単管パイプシリーズ(別にシリーズではない)の第2弾です。
過去記事:簡単に作る階段DIY。足場の単管パイプで【画像40枚】
では一気に流れを見ていきましょう。
今回もいつもお世話になっているこの後ろ姿イケメンの友人S君に色々と道具を借りました。彼は本職の看板屋さんなのですが、この着工の日はちょうど日曜日という事もあって貴重な休日を使って手伝いに来てくれました。
今回の現場は海のそばの最高なローケーション。
フェンスの形は左のこの白い建物の横に「コの字型」で作ります。
施工する地面はと言うと、コの字の3辺のうち、海側の1辺がコンクリート、車側の1辺が土、そして残る手前側の1辺が土&コンクリートになっています。

すべての作業はまず穴掘りからです。
土の上にフェンスの柱(縦パイプ)を立てるには、パイプを差し込んでセメントを流し込みコンクリートにパイプを抱かせるようにします。

さて穴掘りに使う道具なのですが、いきなり特殊な道具です。まあ穴掘りは誰でもどうにでも掘れると思いますが、やはり効率を日々研究する本業の技は一味違います。
道具を借りる際、「縦掘りのスコップ」だけを借りるつもりだったのですが、いざ手伝いに来たS君が段取りした穴掘り道具はまさにオールインワンのパッケージでした。
縦掘りスコップ以外にもバケツの底に穴をあけた「土嚢袋ホルダー」、これに土嚢袋をセットすることによって袋もよれず、溢さずに残土を素早くまとめる事が出来ます。
そして硬い層をまず柔らかくする、背丈ほどもある「特大バール」的なやつです。やはり重さがあると力強く土をほぐすことができます。
普通のスコップや普通のバールでも十分穴は掘れるかと思いますが、この3点を揃えることで作業効率が格段に上がります。しかし当然誰にでも身近なものではないので手に入る最善の道具を取り入れてやりましょう。

写真はないですが、穴が掘れたらパイプを差し込んでセメントを流し込みます。ここがいわゆる全構造の基礎となる非常に大事な部分なので、慎重にしっかり測ってしっかりと段取りをします。
穴の深さは大体40-50㎝です。フェンスの高さにもよりますが、今回のフェンスは地上約160㎝と高めです。もう少し低いフェンスならもう少し浅めで良いと思います。
セメント1砂3バラス1ぐらいの割合で良いかと思います。
そしてセメントを表面の少し下まで流して、固まったら土をかぶせて完成です。
セメントは流した後、隙間ができないようにしっかりバールやなんかで突きましょう。
ここまで簡単そうに書きましたが、この時パイプの水平をとってしっかり位置を決めるのに一手間かかります。しかしここの作業は超重要で個々の水平具合が後の出来に大きく関わってくるので、ここでは焦らずにしっかりと水平を出すことに時間をかけましょう。
この時の仮固定は単管パイプとクランプを使ってもいいですし、掘り出した残土の土嚢袋も使えるので工夫してやりましょう。

さて地面がコンクリートの場合はこのようなマウント(足)を使います。
これの上に48.6単管パイプが被さって刺さるように出来ているのでこの「足」を地面にアンカー止めしてそこにパイプを差して固定します。
差し込んだら後は「スクリュービス」を使って横のほうから両者の重なりを固定します。

パイプの横の銀色のボタンのようなのがスクリュービスですね。
これはインパクトとスクリュービスだけで止まりますが、ここで気を付けたいのはビスの折れです。ステンレス製は特にねじれに弱いので、あまり熱くなってきたり何度も抜き差ししてると中の方で簡単に折れてしまいます。下穴を開けるなりして慎重にやりましょう。
そしてコンクリートに空けるアンカーの穴は「振動ドリル」があった方がいいでしょう。
不可能とは言いませんがこれだけの径の穴をこれだけ空けるのにインパクトでやるのは現実的ではありません。コンクリートビス一本入れるのとはワケが違いますからね。

さてコンクリートの座も完成して、縦のパイプもすべて立ったならパイプの上部を「サンダー」を使って切り揃えます。地域によっては「グラインダー」と呼びます。高所での回転工具は十分に気を付けましょう。
そうしたら、それぞれの横引きパイプを切り出します。
ちなみに今回私は縦パイプ(柱)と下辺パイプは48.6Φのスタンダードの単管パイプを使い、上辺の横引きのみ34Φの細いパイプを使いました。
ここでまず使うをジョイント(接合部品)を紹介しておきますと、
クランピアという製品を使います。
以下メーカーよりお借りした画像です。

上のリンク、或いはググってみてください。
このような部品を組み合わせていくわけです。
これは48.6Φと34Φの異形があるので今回のような異形パイプ同士を繋げることができます。
さて話を戻して、縦パイプの上部を切り揃えたら今度は横引きのパイプを切り出していきます。
切り出したら後はどんどん繋いでいくだけです。
繋いだ後は先ほどの「足」同様それぞれのジョイントパーツとパイプをスクリュービスで固定します。



今回はコの字型のフェンスのそれぞれの辺に合計3つの扉を付けました。扉を付ける器具も製品であります。その名も「らくらく門扉セット」
しかし、それぞれのパーツの値段を合わせるとそれなりにします。数百円から数千円のパーツをいくつも使いますからね。


この門扉セット、実は注意点があって、これはメーカーにも直接言って対応をお願いしたのですが、角度がきつすぎてワッシャーと長めのボルトが必要になってきます。
購入前に確認が必要ですね。或いはこの丁番を挟むというシンプルな構造を模倣して金物を組み合わせて拵えるのも十分に可能だと思います。

さてさて骨が出来上がったらいよいよフェンスの貼り付けです。
ここではステンレスの針金とインシュロック(結束バンド)を使いました。
正直インシュロックで十分強度が出ます。ですが何となく安心感があるので針金でも縛ってあります。
そしてあるとさらに安心感が増すのがサドルフックという部品です。


右がサドルフックで左は針金で縛ってある様子です。
では建物とフェンスの干渉はどうするかというと


このようにフェンスを内側に曲げて、建物にあてた面にコンクリートビスと広めのワッシャーで止めます。

さてコツコツ進めていくと、ほぼほぼ出来上がってきました。
あとは錠を付けて完成です。今回は2種類の錠を付けました。



これら全てスクリュービスで止めています。

錠を取り付けている後ろのアテはS君から分けてもらったアルミ板の端材で作りました。
取付面との高さの調整はナットやワッシャーをうまく挟めば解決できます。
さて、以上、ここまでが単管パイプのフェンスの作り方でした。
単管パイプでフェンスを作る利点は地形や空間に合わせて作れ、自由度が高いという事ではないでしょうか。例えば以下のような上面をまっすぐフェンスと合わせて、下は階段をカバーするといったタイプの作り方もできます。

素晴らしいですね。
単管パイプ自由自在です。
ちなみに単管パイプを使うときの注意点の一つに塗装を考えないという事があります。なぜかというとほとんど単管パイプには錆びないためのコーティングが施されているからです。買う前に確かめてみるとよいでしょう。おそらくほとんどの単管パイプは塗装を嫌うはずです。
今回作ったフェンスの長さは約15mですが、かかった純粋な材料費は約15万ほどでした。その他もろもろ道具や消耗品を考えるともう少しかかるでしょう。
しかしまあ、メーター1万なんて単純な事を言えるかは分かりませんが、結果的に自分でDIYで拵えてしまえばそんなもんで作れるという事です。
ちなみに先に業者に出していた見積もりでは、コンビニなどを囲うような既製品を使って80万という事でした。しかしそういった既製品だと地形や空間に合わせて遊びを利かせることは難しくなるので工法はどうしても制限されてしまいます。
さて、なかなかの大仕事ではありますが1人でやっても2週間はかかりません。
フェンス、自分で作れますよ。
それではよい日々を
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